先日夢前町にて案件があり、久しぶりに行きました。
そこで、通りにあった会社を観て、昔を思い出したのでその話を。
まだ、営業マンになって1年くらいの頃のことです。23歳、24歳です。
飛び込み営業をしていました。15年くらい前ですから、ご不在のお家には電話での営業もかけさせていただいていました。
日曜日の午前にあるおうちに電話をしました。初めてのおうちで、内容は「先日、リフォームのチラシをお届けさせていただいたのですが、ご覧いただけましたか」というもの。
まだまだペーペーの私は下手くそなりに一緒懸命に電話しました。
通常、どちらのおうちにかけても第一声は「うちは結構です!」です。まず、すんなり聞いてくれるところはありませんし、その断り文句は挨拶のようなもので、あって当然。そこからが営業の世界、どこでも同じだと思いますがスタートです。
しかし、そのおうちは違いました。今でもしっかりと覚えています。
「いらんっ!お前、どこに電話してるのかわかっているのか!」とすごい剣幕で怒られたんです。60歳代のおじいさんです。
しかし、そのあとも食い下がり「ぜひ、外壁の塗装のお話を一度だけ聞いてもらえませんか、お願いします」と連呼していました。
ますます相手の怒りはヒートアップし「しつこいぞっ!そんなにわしの家が汚いか!」とすごい怒られ、そんなことはないと弁明し、こちらも冷や汗を流しながら電話をしたんです。
そしてこう言われました「お前、そんなに話を聞いてほしいんなら、電話でなく直接来い!」と。
その時私はまいったなぁ、と思いました。この感じでは伺ってもすごい怒られそうだと。
しかし、もう既に電話も「ガチャんっ!!!」と切られ、来いと言われて無視するのもこちらが勝手に電話をしておいて筋が通らないので行くことにしました。
場所は姫路の飾西方面です。
着いて、インターホンを押しました。「こんにちは〜!先ほどお電話させていただいた〜」と。
すると険しい顔をされた先ほどの声の方が玄関、そして門から出てこられました。そして「貴様っ、わしが誰かわかっとるのか!!!」とカチわめかれたのです。
私もえらく怒られて怖いし動揺もあったと思いますが「わかりません!」とはっきり言うと「お前、失礼な奴だな!」と言い、名刺を取りに行かれ、戻ってこられ渡されました。
「夢前の丸々だ!知らんのか!!」と言われ、名刺には代表取締役社長とありました。
まだまだ世間知らずで、その上言葉も知らなく「いや〜、知りません。何の会社ですか?」と聞くとすごい怒った口調なんですが説明が始まりました。ふた言目には「お前、そんな言も知らんのか!」と言われながら。
そのたびに「すみません」と謝るしかありません。
昔は、こんなこんなで、こんな苦労をした。こんなことがあった。失敗の連続だった。いろんなことを聞かせてくれました。
そのうち怖いのは怖いですが、普通の話し方になっておられました。
そして、今はこうなっているという話まで聞かせていただき、私もあれこれ普通に質問させていただいたと思います。普通に答えてくださいました。面白いなぁと思いながら聞かせていただいていました。怖いけど。
30分くらい話を聞かせていただいたでしょうか、突然「お前がしてほしいと言うのはこの外壁か」と言われ「いくらだ!」と聞かれました。
「測ります」というと「だいたいでいい!」とまた少し怒って仰るので、私は「150万くらいだと思います」と即答しました。
眉間にしわを寄せながらこう言われました「じゃ、やってくれ!」
「えー!いいんですかー!」と言うと「嫌ならいいぞ!」と言われたので滅相もないとお礼を言い。きちんと出すので正確に見積もりをさせてくださいと言いました。
あんまり誤差はなかったですが、その外壁と屋根の瓦の漆喰も見てくれと言われお世話になることになりました。
そしてこう仰って頂いたのはしっかりと覚えています「たくさん営業マンが来るけど、お前は頼りなさそうに見えて肝が座っとるな!」と。
会社に帰ってからも上司には「怒られに行く」と報告していたので、受注してきたものですからびっくりされ、褒められました。
工事中はご主人様は仕事に毎日行かれていたのでいつもご不在でした。
奥様には「ごめんなさいね。あの人は偉そうに言うけど根は優しい人やから。あの人が電話に出たのも珍しいけど、工事を頼むなんてね。頑張ってね」と言ってもらえました。
工事が終わり、日曜日にお礼に伺いました。その時は来客があり、ご主人様は和室の方から「おうっ!」と手を挙げられただけでしたが、奥様曰く「主人も満足しています」と言っていただけました。
夢前町に行き、その会社の前を通るたびに思い出します。とても高い大きな建物、広大な敷地に工場と事務所、今ならわかりますが立派な社長です。
毎月姫路の商工会議所から会報が届きますが、そこにも時折名前があります。今は「代表取締役会長」として載っています。
もう80歳くらいになられているのでしょうか。
私の営業人生にとってとても思い出深い、懐かしい気持ちになるうちの1件の話でした。
「貴様っ、わしが誰かわかっとるのか!!!」
感謝しています。