祭りが近付くこの季節になったら毎年必ず思い出す出来事があります。
営業をしていて「奇跡みたい!」という体験は何度も何度もしていますが、営業という仕事を初めて1年目の祭り前のことです。
24歳の10月でした、会社員の時なので祭りがある14日と15日の休み希望届けを会社に出しました。
基本、休みの希望などだしませんが僕の感覚では祭りは別、一年で一回だけ堂々と体調も悪くないのに休んで良い日であるという認識があり、当然のように思っていたら見事「却下」されました。
僕はその通知を青天の霹靂の想いで見ました。「ガーーーーーーーン、う、うそでしょ…祭りですよ…」と思いましたし、同時にどうしよう、このままでは休めない、と思い上司に相談すると(当時の会社の)部長に頼んでみなさい、という回答でした。
それは非常に勇気の要ることでしたし、怖いし(笑)「なに言うとんや!」で一蹴されそうな予感もしたので作戦を練りました。
作戦といっても言い方だけですが、モソモソ言うと機嫌を害するのは予想できましたし、話の前置きが長いのも成功率を下げることが読み取れますのでとにかく明確に、そしてこちらから条件を出して頼んでみようと考えました。
それは営業マンなので売上です。もう10月に入っていたんですが、祭りまでに当時の会社の粗利で僕個人で150万を必達というもので、その時どれくらいその月の僕の売上が上がっていたか忘れてしまいましたが、容易な数字ではオッケーがでるわけなく、頑張らないと届かない数字だからこそ休みの許可がもらえると考えた末の設定でした。
いざ、お手透きのとき且つご機嫌の良いときを見計らい作戦開始しました。
「部長、すみません、少しお願いがあり来ました」みたいなことを言って切り出したのを覚えています。
答えは「そうやな、んじゃ200や!」と一言でした。
「200やって休め!営業マンはやることをやったうえで休むもんや」と言われ僕の持ち時間は終わりました。
う〜ん、というような数字でした。
まだまだ200万までありましたし、営業を始めてまだ半年ちょっとでそこまで力もありませんでした。
しかし、僕が会社を休んで祭りに参加するには必達しかありませんからやるしかありません。
そして、1〜2週間「祭りに行くため、祭りに行くため」と必至に働きました。
日が無かったんですが何とかかんとか100数十万までグラフを伸ばしましたがネタ切れです。
明日は13日、明日中に数字を叩かないと祭りにはいけないと考え次の日を迎えました。
お客様の見込みもないのでもう最後は突撃しかありません。
1件1件新規のお客様を探しました。
もうこっちもやけくそです。数字がともなってないのによく頑張ったと言うような甘ちゃん部長でもないですし、もとより僕自身がそんな情けは受けません。ガンガンガンガンいきました。
そして時間もはっきり覚えています。なぜかわかりませんけど14時でした。アポイントがとれたんです!
場所は飾磨区恵美酒、内容は「外壁の塗装」です。
もう僕の中では「この案件しかない〜」でした。
そして、つたないながらご説明し、お見積もりを作らせていただきました。
お客様は「まだ先でええんやけどなぁ!あんたも段取りが素早いなぁ」とまんざらでもなさげなんですがこっちは緊張で緊張でドキドキしています。
そしてお見積もりをご呈示させていただいてしばらく「んじゃ、返事は家内と相談してから!」でした。
そうなんです。ご主人様がお一人で奥様はご不在でした。
僕はそうですよね〜とご返事し、もう駆け引きしてもしょうがないと思い、実はと明日の祭りに参加するためには今日中に契約をいただかないといけないんです〜」と誠に自分本位なんですが洗いざらいを話ました。
10月ここまで全力で働いていますので自分自身がもう詰まっている状態で気持ちもマックスで入っていました。
とても優しいご主人様でそんな僕の勝手なお願いも終始ニコやかに聞いてくださっていました。
最後にと思い言いました。
「もし、させていただけるんであればお願いします。どうしても今日ご返事いただけなければもうこの話は無かったことにして下さい。自分勝手な申し出なのは重々承知の上です。お願いしますー!」と頭を下げているとご主人様がおっしゃいました。
「色はどんな感じがええかな〜」
僕は「えっ!!!」と思い頭を上げました。
「いいんですか!」とお聞きすると「男には男の事情があるわな」と笑って言われ「んで何色にする?」と言われました。
もう涙が止まりませんでした。
祭りを休めるということよりもお客様のお気持ちが嬉しかった。言葉が格好良かった。
今でも使っていただいていますが当時まだ定年退職したばかりと言われていた60歳過ぎのご主人様でした。
本当に本当に嬉しい契約でした。
帰りにも「祭りでケガせんときよ〜!」と見送って下さいました。
帰って部長にも報告し「約束守ってかっこええぞ!堂々と行ってこい!」と言われました。
ノルマを高めに言って下さったおかげで自分自身のキャパシティ以上の仕事が出来ましたし、こういうことから力がどんどんついていきました。
自分勝手な僕のお願いを「男には男の〜」と気持ちよく仕事を下さったお客様には心から感謝していますし、今もちょっとしたことでもお呼びいただけています。
「ほんま、あんときのあんたは今考えたら無茶苦茶なお願いしてきたなぁ〜」と70歳をこえられた今も変わらぬ笑顔で懐かしんでくださいます。
祭りの前になったら毎年思い出すんです。飾磨小学校の北の道から宝くじ売り場にかけて、帰り道車の中で号泣の上ヨッシャーーーー!と吠えまくったあの日の感動と感謝の出来事を。