6月9日は毎年思い出すお客様がいます。
創業1年目に家全体の改装を契約してくださったお客様。その時で50歳後半でした。
他社でそういう話になっているところに私がたまたま飛び込んでご縁をいただけた、会社から車で5分くらいのおうちです。
「もう他で話がすすみようからなぁ」と奥様が言われるところを「いや、なんとか話を聞いてください。仕事がほしいんです。お願いします」と食い下がり、断られ帰り、次の日また伺いいました。
こっちが「断られるかも」なんて顔をして行くと余計に断られますから元気いっぱい「こんにちは〜!昨日はありがとうございました!また来ました〜!」と。
すると奥様が笑って出てきてくれ「まぁ、上がり」と言ってくれたのです。
そして「あんたのところですることに決めた」と。だから外壁から屋根、水廻り全部に内装、サッシ、全部提案してと言ってくれました。
「主人が19時くらいに帰ってくるからその時にもう1回来て、よろしくお願いしますって挨拶だけしとき、一応主人をたてとかんとすねるから(笑)」と。
お会いして2回目、時間にしてトータル30分くらいでしたが本当にこう言ってくれた。
「ずっーとリフォームしたいなぁって思っとったんや。主人のお母さんが生きている間は出来ひんやろ、できるようになったから、よその広告が入っていたからそこで話をしよったんや。でも、そこは忙しそうやし、あんたは仕事くれ仕事くれ言うし、まぁどうせやったら、これから頑張る子にしてもらったほうがこっちも嬉しいしな」と私を選んでくれたんです。
今でも詳細に記憶しています、あの日のあの部屋の光景。飼われているミニチュアダックスのナオちゃんが私のすぐそばで笑っていました。
早速その日の夜にご主人様にご挨拶に伺うと「おう、おう、おう」とだけ声を発し、腹巻と上下白のパッチ姿になり、ご飯をいきなり食べ出されました。名刺を渡すのが精一杯くらいのスピードで。
奥様が「この子にうちのリフォーム頼むから」と言うとご主人様は「ほんまか」と名刺をチラッと見て「社長か」と、すると奥様が「会社初めてまだ1年も経ってないから仕事があんまりないんよ。だからうちのリフォームをしてもらうな」と断言されました。
ご主人様は「社長〜、この家で一番偉いんは嫁さんやから、嫁さんと話してくれたらええで」と速攻でお風呂に行かれました。
そんな経緯で決めてくれたお客様。家ごと全面改装させていただきとても大きな工事になりました。
職人には「私がここのん好きなんよ」と毎日毎日喫茶店からアイスコーヒーを取り寄せてくださいました。
最後の集金はその喫茶店でさせてもらったんですが、コーヒー代をまとめて支払われていました。今だから言ってもいいでしょう、私たちが毎日いただいたコーヒー代17万円でした。
「職人さんらぁ暑いやろ」と午前も午後もとってくださいました。
失礼ながら特にすごいお金持ちではありません。ただ、お気遣いがすごく細やかだったのと、お金の使い方が綺麗な方でした。
長かった工事も終わり、奥様もご主人様もとても喜んでくださいました。
奥様は「こんな家に住みたかったんよ、長い間我慢してきたから嬉しい。ありがとうな。夢が叶ったわ」と言ってくださいました。
あとあとこの時の「夢が叶ったわ」は、大きな存在の言葉に私の中でなっていった。
なぜ、私が毎年今日の日を覚えているか。
工事が終わり数週間して奥様から「2階のベランダに蛇口つけて欲しいんよ、ベランダに花壇を置いたらいちいち水を汲むのが大変やろ、あんたに蛇口つけてもらってから花買いに行くから早くしてな」とお電話をいただきました。
施工日を奥様と約束し設備屋の福本さんと一緒に行くも留守、お電話をするも繋がらず、次の日も。
おかしいなぁと思い、近いので伺えど朝も夜もおられない。
どうされたんやろなぁと思っていたら事故に遭われていたのです。
自転車で花をホームセンターに買いに行って帰ってこられる夕方、車と。
すごく楽しみにされていた新しいおうちでまだ全然生活されていないのに。
忘れられません。
6月9日に契約をしていただき私は「やったー!」とそのお客様のおうちから会社に帰った。
そこから始まった短いお付合いでしたが、していただいたことは一生忘れることはありません。むしろそんなことがあり、すごくクリアに私の胸に刻まれています。
それ以来毎年この日には、あの時は本当にありがとうございましたとおもっています。頑張ってお気持ちに応えますからね!とおもっています。