仕事ができる人っていうのは上司の好みが分かっている人である。
サラリーマンでも職人でも公務員でも、世の中のほとんどの職業はそうだだろう。
全然関係ないのはアーティストくらいではないか。政治家でも、芸能人でもその要素は必要だ。
分かっていない人ほど「俺はこんなによくやっているのに認められない。なぜあいつばかり!」と不満を口にする。
このような考え方から20代のうちに脱皮した人が出世する。
若いときはそういうふうに思うのも分かる。
30代になっても、また40代になってもこのような考え方の人はだいたい一生ヒラである。
上司の好みも分からない、いや、考えない人間が、お客様の好みを考えるか。サービスの向上を考えるであろうか。
満足度というのは他人が感じるもので、本人の出来栄えではない。
ひとりよがりなのだ。
大工で一人前になっている人間が、弟子の頃、親方の好みが分からなかったはずがない。
何が好きで、何をしたら喜んでくれ、逆鱗に触れるスイッチはどこか分かっていただろう。
サラリーマンで上司を不機嫌にさせ、良い仕事ができるはずがない。
気分が良くなるであろうことをしない人ほど、認められないと愚痴をこぼす。
仕事は基本上司から回ってくるものである。良いプロジェクトは誰に回すと考えたとき、決めるのは人間であることを理解しないといけない。
上司に媚びているのでも、おべっかを使っているのでもない。相手のことを考えているから、好みが分かる。それを提供して、より仕事をしやすくしているのだ。
私は20代前半、当時勤務させてもらっていた会社の、リフォーム事業部のトップである本部長の灰皿を、本部長の右斜め前に置いた。ガラスのでかい灰皿。いつもそこに置き直していたし、右手でタバコを持っていたから。
その中にドリップのコーヒーの乾かしたやつを入れた。消しやすいし、香りがいい。当然車がくる音がしたらコーヒーも入れた。
車でも、足音でも誰かは分かる。
少々カッコつけて低い声(そういう人でした)で「おはよう」と入ってくると、私が一番に起立して「おはようございます!」と言った。当然こっちを見てくれる。イヤな気などするはずがない。
座って、早速タバコに火をつけ、コーヒーをすする。普段、礼など言わない。それで良かった。
気にいられるから仕事がしやすい。それに加えて私がどんどん売るものだから力倍増、無敵になる。
数字の背後に本部長に好かれているという力が動くと発言はどんどん力を増す。
自分の実力だけで世の中はやっていけない。アーティスト以外は。
現役のプロ野球選手もそうか。でも、現役を引退して報道ステーションに呼ばれようと思ったら、上司となるような人に可愛がられやすい松坂や、ハンカチ王子となる。そう言えば、昔は栗山監督がずっと出ていた。
栗山監督が今監督をしているのはそういうことだ。
誰よりも数字を残していないだろう。
出世しない人ほどそれが分からないし、上司にお世辞をいうとかいう。違うのです。
まずはそこを恥ずかしげもなくやることが未来を開く。やりきれるかどうかだけ。